約 3,257,863 件
https://w.atwiki.jp/kaeuta-matome/pages/466.html
元ネタ:いつか冷たい雨が(イルカ) 作:ヤジウルトラマリンディープ 雪が降る町の片隅で 誰にも見つからない様に イチャついている 不倫カップル カメラで狙う興信所 時が来れば離婚する私 証拠握るまで 何も知らない振り 私 白いラブホの真ん前で 凸されてしまったカップル その横を何人もの プリが通り過ぎてゆく おもわず逃げ道を塞いだ 私を許してください フルボッコだって プリにふさわしいと 信じたいのです 妻や夫や子供らも スパイスの為にあるのよ サァ 浮気を楽しむの そんな風に言う プリンにはなりたくありません でも私だって 女として生まれてきたのだし 恋だってしたこともあります だから だから お願いです もう愛してないんだと 捨ててしまったり 自分本位で振り回したり 小さな家庭に閉じ込めて バカにしたり ウザがったり 自分だけは 自由な恋愛を なんて事だけは 思わないでください 検索タグ J-POP 不倫シタ 1コーラス以上 ヤジウルトラマリンディープ メニュー 作者別リスト 元ネタ別リスト 内容別リスト フレーズ長別リスト
https://w.atwiki.jp/gachmuch/pages/1139.html
おまえらには、どうでもいいだろう 何も与えられなかった、いまさら止めねえよ 永遠につかんでやるぜ (いつまでも、いつまでも) モール行っても、買い占める 電話かけずに、女の子みんな惚れさせて 永遠につかんでやるぜ (いつまでも、いつまでも) 名字はエヴァー(過去最大)、名はグレイテスト(偉大なる奴) お遊びじゃない、捻挫どころじゃすまないぜ はじまりはローカル、だが嫉妬連中のおかげで ジェット機のパイロットと友だちにまで成れた おまえの街まで飛んで“ハイ”、それは「ニーノ・ブラウン」 品(クラス)のある女、それ自慢してる、うん、わかってる お札の海で泳いで、オレをさがしに来い、それは『ニモ』 クラブへ行けばおなじみ、贅沢やってあばれてる ミックステープをドロップ、クオリティはアルバム級 だれが予想した?オレが全国ツアーするなんて どこのレーベルもオレをX(チェック)してる、「マルコム」のように 誰もがまずは「ディール」を結んだ、オレは「それ」無しで行った つまりオレは根っからのビジネスマン ほかのラッパーどもをぶちのめして、ヒット飛ばしつづけて オレのこと疑ってたやつら、みんな許しを乞うてるぜ オレのチームに居なくとも、眺めることなら、させてやる ビッチども おまえらには、どうでもいいだろう 何も与えられなかった、いまさら止めねえよ 永遠につかんでやるぜ (いつまでも、いつまでも) モール行っても、買い占める 電話かけずに、女の子みんな惚れさせて 永遠につかんでやるぜ (いつまでも、いつまでも) かつてフッドで夢みてた、でかい名声にでかいチェーン 「人生」という名の女に巨根をぶち込んで、イカせてやった NBAチームのように、秋のあいだはずっと、ハードに闘った そのおかげで春になれば、お札の雨が降ってきた オレのストーリー、オレの栄光、ヒップホップを若くして強姦 この世界で勝ち上がり、きっとオレの銅像建つだろう むかしから稼いできたカネ、名付けて『ベンジャミン・バトン』 なんだって?なんでもねえよ 最高にヤバい女たちが愛してくれる、「アイム・ラヴィニッ!」 世界中を走り回った、ある意味、“ミシェルの夫”のように みんながオレと知り合いになりたがってた、友だちでもないのに まるでオレのこと、フッドの頃から知ってるかの如く、ありえねえ なんて負け犬どもだよ オレはガッコーの授業なんてさぼってた、「ピューラーの仮病」 グラミーなんて要らねえから、グラニー(ばあちゃん)を返してくれ 思い出すぜ、ばあちゃんがギックリ腰で、ケツ突き出して歩いてた 「スターの地位」を求めてると、気がおかしくなっちまう ハリウッドまで行ってやった、演技なんてしないのに みんなカメラを出して、オレをパチパチ撮ってる かつて「この名声」を永遠に欲していた、今は、こんなのくれてやる おまえらには、どうでもいいだろう 何も与えられなかった、いまさら止めねえよ 永遠につかんでやるぜ (いつまでも、いつまでも) モール行っても、買い占める 電話かけずに、女の子みんな惚れさせて 永遠につかんでやるぜ (いつまでも、いつまでも) さてと、やあ、火星人のオレ、『スペース・ジャム』のジョーダン様だ オレは永遠にそれ欲しい、朝起きて、お庭のにおいを嗅いで 新米より新鮮(フレッシュ)に、こっちにおいで、ターゲットはキミ 1つ確かなことがあるとすれば、「オレ=ニューオリンズ」ってこと 足は止めねえ、ポリから逃げ回ってる気分で、とまらねえ クルマに飛び乗って、運転手に告げた、「行き先はトップまで」 人生なんてジェットコースター、ぐんぐん昇って、ぐいっと急降下 だけど叫ばなくていい、だってここは“オレ様の”テーマパーク たとえ頭のなかがダークでも、ハートはキラキラ光ってる 腰にピストルくっつけて、銃口が「しゃべれば」怖い目にあうよ しゃべるのはキングのオレ、カネをチェックして、注目しな 「リル・ウェイン」:口を衝(つ)いて出てくるその名 オレって、真夏のネバダの砂漠 先頭(リード)はオレ、枕とふとんに横たわって、くつろいでる でもね「シーッ」、両足はアクセル踏んだまま ブレーキなんて必要ねえ、ビリなんてありえねえ おまえらには、どうでもいいだろう 何も与えられなかった、いまさら止めねえよ 永遠につかんでやるぜ (いつまでも、いつまでも) モール行っても、買い占める 電話かけずに、女の子みんな惚れさせて 永遠につかんでやるぜ (いつまでも、いつまでも) ほらよ行くぜ、スタジアム満員、シェイディのスピット 観客は狂気(ナッツ)の渦、マカデミアのように、ハジケてる まわりの奴ら全員のろま、もっとスローにスピットしてやろうか? するわけねえ、全力邁進、グラスの水が溢れ出すまで、oh no こんだけオレが噂されたのは、もしかして「過剰摂取」以来か ピノキオがその鼻をぶち込みに来た、我慢して待ってたんだろ オレが戻って来た今、「ラップ界」はオレの手により変えられた 女々しいやつらの脳みそつぶして、この名をとどろかせる 情熱と炎がバチッと点火、二度と消えることはない まさにこのことを言ってんだ、暴動勃発 マジなワル4人、ブースに入って真実をスピット 本音をあらわにし、口のなかから歯がぶっ飛んじまうまで ラップ炸裂、さあ巻き戻して聴き直せ 当然の報いってもんだ、よくぞオレのことを疑ってくれた どうだ苦い味するか?苦虫をおまえの口にぶち込んで ベースを響かせ、爆音であたり一面を揺らす オレの名は「ハンニバル・レクター」、面食い魔だぜ その“面(ツラ)”喰って、のっぺらぼうにしてやるぜ オレがこの場から「オサラバ」するまでに あとはまかせた、ドレイクへ... おまえらには、どうでもいいだろう 何も与えられなかった、いまさら止めねえよ 永遠につかんでやるぜ (いつまでも、いつまでも) モール行っても、買い占める 電話かけずに、女の子みんな惚れさせて 永遠につかんでやるぜ (いつまでも、いつまでも)
https://w.atwiki.jp/wrtb/pages/5569.html
どこまでも~How Far I'll Go~ 原題:How Far I'll Go 作曲・作詞:リン=マニュエル・ミランダ 楽曲:『モアナと伝説の海』(2016年) バリエーション モアナと伝説の海 英語 アウリィ・クラヴァーリョ(モアナ) 日本語 屋比久知奈(モアナ) 将来の村長としてモトゥヌイに留まることを期待されながらも、航海への欲求を抑えきれないモアナ。彼女はボートに乗り水平線の向こうへと旅立つことを決意するが、波に押されて島に戻されてしまい、島に身を固めることにする。 『モアナと伝説の海 オリジナル・サウンドトラック』『モアナと伝説の海 ザ・ソングス』に収録。 モアナと伝説の海(リプライズ) 英語 アウリィ・クラヴァーリョ(モアナ) 日本語 屋比久知奈(モアナ) タラおばあちゃんの死に際に、テ・フィティの心をテ・フィティのもとへ返しにいくことを約束したモアナはモアナのボートに乗り、再び海へと旅立つ。 この楽曲は後半のモアナが決断をするシーンで、「モアナ」という曲に引用として使われており、彼女のI Wishソングが完成する構図になっている。 『モアナと伝説の海 オリジナル・サウンドトラック』『モアナと伝説の海 ザ・ソングス』に収録。 モアナと伝説の海(エンド・ソング) 英語 アレッシア・カーラ* 日本語 加藤ミリヤ エンド・クレジットで流れるポップ・アレンジバージョン。 画面には、映画内に登場したCGのオブジェクトが映し出され、水の反射光が当てられている。当初は手描きのイラストを使用する予定だったが、納期が間に合わないためこの演出となった。 『モアナと伝説の海 オリジナル・サウンドトラック』『モアナと伝説の海 ザ・ソングス』に収録。 ゲーム Moana Rhythm Run モアナを操作するステージのBGMとして流れる。 Disney クロッシーロード モアナでプレイした時のBGMとして流れる。 ディズニー ドリームライトバレー 『モアナと伝説の海』の世界や、モアナの同行BGMとして使用されている。
https://w.atwiki.jp/asrivival/pages/369.html
~ミストラルシティ・中央公園~ アンダーとスカイ、それとパラケルと対峙する一凛。 一凛(状況の整理がが追い付かない…) 目の前の構成員は死んでいる。動いているのに死んでいる。それはつまり… 一凛「ゾンビ…」 パラケル「ゾンビ?我がホムンクルスはそんな空想の産物とは違う」 一凛「ホムンクルス?」 聞いたことがない言葉だ。それにパラケルが言っている錬金術とは… 一凛「錬金術っていうのがあんたの能力なの?」 パラケル「錬金術は能力ではない。我らが祖ヘルメスが生み出した術。して…この問答は時間稼ぎか」 一凛「ちっ…ばれたか」 パラケル「いけホムンクルスよ!」 スカイとアンダーがパラケルの命令に応じるように一凛に襲い掛かる。 一凛「何度来たって!」 風の壁を作る一凛。 アンダー「…」 アンダーが地面に手をつく。 ヴォン! アンダーを中心に5mほどの空間が展開される。 一凛「これは!」 空間内の一凛が展開していた風の壁が消える。能力がうまく使えない。 ゴッ! スカイの蹴りが一凛の脇腹に直撃する。 一凛「ぐはっ!」 脇腹に強烈な痛みが走り、態勢を崩す。態勢を崩した一凛を羽交い締めにするスカイ。 ギリギリギリ… 人間の力とは思えない力が一凛を締め付ける。 パラケル「これが能力者のホムンクルスの面白いところだ。魂はないはずなのに、その肉体は生前の力を覚えている。脳があれば能力は使えるという事実。能力とはどこに宿るのか。非常に興味深い」 一凛「ぐ…うっ」 痛い。あまりの痛みに気を失いそうだ。この状況をなんとかしなければ。 一凛(両腕は動かせない…能力も封じられてる…) そうは思うが今の一凛にできることはない。それが現実。 一凛(…って受け入れるわけにはいかないのよ!) 足元の小石を蹴り飛ばす。 ゴッ! アンダーの顔面に直撃する小石。その衝撃で一瞬、ほんの一瞬だがアンダーの能力が解除される。その一瞬を一凛は見逃さない。 一凛「だあぁぁ!!」 ボゥ!! すさまじい突風が巻き起こる。突風により吹き飛ばされるスカイとアンダー。 一凛「はぁ…はぁ…」 パラケル「ほぅ。なかなかやるものだな学生。だがいつまでもつかな」 突風により吹き飛ばされたスカイとアンダーはまるでダメージがないかのように立ち上がり一凛の前に立ちはだかる。 一凛「くそっ…(本当にゾンビみたいね…)」 「おいおいおい…」 何者かが一凛たちのまえに現れる。 ???「いつまでやってんだパラケル。こっちは終わったぞ」 パラケル「ご苦労ゲオルグ。こっちは思った以上に厄介でな」 パラケルの仲間のようだ。軽い口調と態度が男の性格をよくわからせてくれる。 一凛「仲間…(こいつらだけでもやばいのに…4対1…こうなったら)」 ゲオルグ「能力者かぁ?だけどよ学生だろ」 へらへらした口調でしゃべるゲオルグ。 パラケル「風を操る。思った以上に強い」 ゲオルグ「へぇ~そぅ」 ゲオルグと呼ばれる男は自分で見たもの以外はあまり信用しない性格をしているようだ。パラケルが学生に手こずっているという事実にも納得がいっていないようだ。 一凛(逃げるしかない!) ダン! 足に風を纏わせ地面を蹴る一凛。その体は風に舞い空へと飛んでいく。 パラケル「逃げるきか」 ゲオルグ「へっ。逃がすかよ!」 ~~ 公園の空へと浮かぶ一凛。パラケルたちがいたところからはだいぶ離れた。 一凛「これだけ離れれば…」 キィィィン!! 何かが飛んでくる音が聞こえる。 一凛「なに…」 ビュン! 一凛の横を何かが通り過ぎる。 一凛「今の…」 ゲオルグ「おっと!早すぎたか?」 通り過ぎた何か。それはゲオルグだ。彼が一凛の上に浮かんでいる。 バサッ!バサッ! 一凛「さっきの奴!追いついてきたの!?」 背中から羽をはやしているゲオルグ。その羽を羽ばたかせ空を飛んでいる。 ゲオルグ「逃げようったってそうはいかねぇよ」 ゲオルグが一凛を捕まえようと手を伸ばす。だがその手は風の壁により阻まれる。 ゲオルグ「っと。これがパラケルの奴が厄介って言ってた風の壁か。確かに普通の体じゃ突破するのは難しそうだ。なら!」 ビシュッ!! ゲオルグの腕が液体へと変化する。 一凛「うそ!?」 バシャン! 液体となった腕は風の壁を突破し一凛の首を掴む。 一凛「ぐっ!」 ゲオルグ「つーかまえた♪」 ギリリリ… 首を掴む力が強くなる。 一凛「もう…だめ…」 気を失う一凛。 ゲオルグ「ゲットだぜ」 ~ミストラルシティ・裳丹高校学生寮~ 十一「はぁ~。結局今日はなんの成果も得られませんでした」 遺体と犯人に関する情報はまったくつかめなかった。くたびれて寮へと戻って来た十一。 十一「そういえば先輩とは急に別れたきりでした!先輩の部屋に行きましょう!」 一凛の部屋の前。扉をノックする十一。だがなかから返事はない。 十一「まだ先輩は帰ってきてないみたいですね」 だいぶ夜も遅い時間。寮の門限ギリギリの時間だが一凛がいないということは… 十一(またなにかに首を突っ込んでいる可能性が…) そうとなれば日中のあの女性の件だろうか。なんにしても今考えてもしょうがない。明日改めて一凛の部屋を訪ねることにしよう。 ~そして翌日~ コンコン! 部屋をノックする音。部屋の主は返事をする。 「は~い。あいてるわよぉ」 十一「失礼します」 十一が訪れた部屋。そこは… 零軌「あらぁ?珍しいわねぇ。どうしたのかしらぁ?」 響零零軌の部屋だ。 十一「先輩…一凛先輩が昨日から行方が分からないんですがなにかしりませんか?」 朝に一凛の部屋を訪ねたがやはり彼女は帰っていなかった。 零軌「一凛さんが行方不明…またなにかに首を突っ込んでいるのかしらぁ」 やれやれと零軌は首を振る。 十一「その様子では知らないようですね…わかりました。ありがとうございます」 部屋を後にする十一。 零軌「ちょっと興味もあるし…調べてみようかしらぁ」 通信端末を手に取る零軌。 零軌(べ、別に一凛さんが心配とかそういんじゃないんだけどぉ) と誰も聞いていもいないのに自分に言い聞かせながら通信端末を操作する零軌。 「はい」 通信相手が淡々と感情のない声で応答する。 零軌「お仕事の時間よぉ」 「仕事の内容は?」 零軌「うちの生徒、也転一凛さんの足取を調べてほしいの」 ~ミストラルシティ・某所~ ゲオルグ「大漁大漁♪」 部屋の中には公園から攫われてきた人々が拘束されている。 パラケル「だいぶ集まって来たな。だがまだ足りないのだろう?」 ???「あぁ。あれを創るにはこの程度の数では足りない。もっと多くの人間が必要だ」 パラケル「ホムンクルスを使って集めて回るしかないな」 ゲオルグ「どこかに大量に人…それも使える奴らが集まってるとこがあれば楽なんだけどな」 ???「いずれEGOにも感づかれる。その前にことを成す」 パラケル「そうだな」 ゲオルグ「とりあえずはパラケルの錬金術に頼るほかねぇな」 ???「頼むぞパラケル」 パラケル「うむ」 ~ミストラルシティ・第4区域~ 美天「遺体捜索っていってもどこを探せばいいのか見当もつきませんね」 十一「そこらへんに遺体が転がってるはずもないし…」 第4区域内を探索する美天と十一。 十一「この間の女性…あれがなくなった遺体だったとしたらまた他の遺体が表れる可能性も…」 ピピピ! 十一と美天の持つ携帯端末に通信が入る。焙那(はいな)からだ。 焙那「第4区域で正体不明の怪物を見たとの通報があったわ。EGOも向かっているようだけど、十一さんたちが一番現場に近いの。すぐに向かってちょうだい」 十一「怪物…もしかしたら」 脳裏によぎるのは先日相対した女性。となれば盗難された遺体の行方を知るチャンスだ。 美天「場所はここからすぐ近くです」 十一「いくわよ!美天!」 美天「はい!」 ~~ 怪物がでたという現場に到着した十一と美天。 十一「ここですか」 目の前にあるのは廃工場。廃工場に面白半分で入ったら、なにかが襲い掛かって来たとの通報。通報者はなんとか逃げおおせたようだが。 美天「もしかしたら未元獣かもしれません…応援を待ったほうが…」 十一(先輩が今首を突っ込んでいるとしたらあの怪物の件の可能性が高い…ここで止まってるわけには!) 一凛のことを心配する十一は一凛の手掛かりとなるものをすぐにでも見つけようと先を急ごうとする。 十一「いや、いくわよ美天」 ギィィ… 廃工場のさびた扉を開ける十一。中は錆びれた機械が鎮座し、静けさに満ちている。 十一「…」 美天「静かですね…情報は眉唾だったかすでに怪物はどこかにいったのか」 ガタッ! 工場内に響く音。何かが動く音だ。 十一「なにかいるわね」 美天「あわわ!み、未元獣でしょうか!?」 あわてふためく美天。 十一「未元獣は人よりもかなり大きいらしいから、いれば目に入る。違うなにかね(もしかしたら…)」 十一の予想は当たる。錆びれた機械の脇から姿を現したのは人だ。 十一「生気が感じられない…あの女性と同じ」 美天「もしかしてゾンビですか!?」 ガタン! 物音がすると同時に次々と現れる人々。そのどれもゾンビのように生気がなくその場に立っている。 十一「一人だけじゃないようね。美天はすぐに遺体のリストと照合を!」 美天「はい!」 カタカタカタ! 美天「十一さん!この人たちは遺体のリストに記載されている人と身体的特徴が一致しています!やっぱりゾンビ…」 十一「動く死体…趣味が悪いわね」 動く死体たちが十一たちへとゆっくりと近づいてくる。 美天「私たちを狙ってるみたいですよ!早く逃げましょう!」 十一「目の前にいるのが盗まれた遺体ならそのままにしてはおけない。せっかく見つけた犯人の手掛かり、このまま引くなんてありえない」 美天「しょ、正直ゾンビは怖いですけど…十一さんがやるというなら!」 パン! 自身の頬を叩き気合を入れる美天。 美天「私たちは治安維持委員(セキュリティ)ですから!」 十一「えぇ。動く死体の正体…突き止めて見せる!」 太ももに付けたホルダーから魔導帳を取り出す十一。 十一「死体を損傷させずに動きを止める」 パラパラと魔導帳をめくる。 十一「これなら!」 ビッ! 魔導帳のページを破る十一。破ったページを死体の足元へと投げとばす。 ビキビキビキ!! 死体が凍り付いていく。 美天「さすがです十一さん!」 十一「このまま全員凍らせる!」 魔導帳のページを次々と破り死体へと投げつけていく。あっという間に死体たちは氷漬けになる。 十一「なんとか魔導帳が足りましたね」 魔導帳は十一が事前に魔導の術式を書き込んだ単語帳。氷結の魔導術式を書き込んだページは今のですべて使い切った。再び使うには新たに魔導帳を書く必要がある。 美天「あとは応援を待って、死体を回収すれば…」 パラケル「これは魔導か」 廃工場の上階にローブを着た男が現れる。 十一「だれ!?」 パラケル「まさかこの街で魔導士を見るとはな」 十一「あなたがこの死体たちを盗んだ犯人ですか?」 パラケル「あぁそうだ。この者たちは私のホムンクルスとして蘇った」 美天「ホムンクルス?それに蘇ったって…」 十一「犯人自ら現れてくれるとは探す手間が省けましたね。死体を操るのがあなたの能力なのですか?」 パラケル「能力か…錬金術を能力などと同じにみるな!」 ビシッ! 死体を覆っていた氷にヒビが入る。 パラケル「魔導を操る娘よ、我がホムンクルスがこの程度で止まると思うな!」 バキン! 死体を覆っていた氷が砕ける。動き出す死体たち。 美天「あぁ!」 十一「くっ!」 パラケル「いけホムンクルスたちよ!」 パラケルの声に応じるように死体たちが美天と十一に襲い掛かる。魔導帳を使い、死体と応戦する十一。だが動きを止める魔導はない。炎で燃やし、雷で焼いても死体はまるで効いていないように襲い掛かってくる。 十一「効果がない…」 美天「ど、どうしましょう!」 十一「目の前に犯人がいるのに…成す術がないなんて…」 美天「このままじゃ私たちやられてしまいます!!」 慌てふためく美天。 パラケル「所詮は学生。成す術などないのだ」 「それはどうかしら?」 工場の入り口から聞こえる声。その声は十一と美天には聞きおぼえがある。その声の主は… 焙那「十一さん!死体を燃やして!」 十一「はい!」 魔導帳を破り、炎の魔導を死体に放つ。燃え上がる死体。だが死体は意に介せず動きを止めはしない。 焙那「有然(ありさ)さん!炎の温度は!」 美天「は、はい!」 携帯パソコンを操作し、死体を覆う炎の温度を測る美天。 美天「100℃を超えています!」 焙那「よし!『温度調整(テンパーチャー)』!!」 手を死体へとかざす焙那。すると死体を覆う炎が瞬時に消える。 ギギギ… 死体は動こうとするが動けない。なにかが邪魔をしているかのように。 パラケル「なんだと…」 焙那「私の能力は物体の持つ温度を操る」 焙那は死体が炎での高温から急速に氷点下の温度にさらされたことでフリーズドライ現象を発生させた。急激な温度変化で死体の水分を奪い去り、死体周囲の水分が凝固凍結され死体の関節が動けないように凍結させたのだ。 美天「焙那先輩!」 焙那「大丈夫十一さん、有然さん」 十一「はい」 美天「大丈夫です」 パラケル「ホムンクルスの動きを止めるとは…」 焙那「覚悟しなさい死体窃盗犯!もうすぐEGOも到着するわ!」 パラケル「ゲオルグに助力してもらうべきだったか。この街の人間の力を甘く見ていたな。今回は私の敗北だ。だが次はない!」 そういうとパラケルは姿を消した。 焙那「まちなさい!」 十一「逃げられてしまいましたね」 焙那「仕方がないわね。EGOに状況の報告をして私たちも戻りましょう」 十一(先輩の手掛かりは掴めなかった…先輩。どこにいるんですか…)
https://w.atwiki.jp/83452/pages/6760.html
学校に着いた私は車を停め、職員室に向かった ガラガラガラ 「こんにちはー」 とは言っても今はお盆休み 職員室にはあまり先生方はいなかった 「あー!澪ちゃ…」 「ゴホン」 「こんにちは、秋山先生」ニコッ 澪「そろそろ慣れてくださいよ、山中先生」 さわ子「にしても今日は暑いわねー」 澪「本当ですね」 さわ子「今日は?」 澪「ああ、えーと部活動があって…」 さわ子「"あんな部活"に入って、やっと私の大変さがわかってきたんじゃない?」 澪「"あんな部活"とか言って、先生だってたまに部活に行ってるそうじゃないですか。顧問でもないのに」 さわ子「忘れられないのよ」 澪「?」 さわ子「あの紅茶の味が」 澪「私はとっくに忘れちゃいましたよ」 さわ子「そう。でも今もまだやってくれてるじゃない、お茶会」 澪「いやな伝統ですよ。ろくに練習してくれませんし」 さわ子「あなた達も一緒だったでしょ?」 澪「……まあ」 澪「ってヤバい!時間だ!」 澪「では山中先生」 タッタッタ さわ子「あらあら……すっかり先生らしくなっちゃって」 さわ子(きっとあの時の私も今の澪ちゃんみたいだったのよね…) さわ子「……フフ」 さわ子「軽音……ね」 澪「遅刻だ遅刻ー!」 澪「………!」 と、その時階段の前でふと私は歩みを止めた そう、一瞬あの頃に戻ったような気がしたからだ 大人になってから昔修学旅行で行った場所やよく皆で遊んだ場所にあの懐かしさを求めて出かけてみてもどうもしっくりこないのだが、今はどこか違った そんな思いを抱きながら再びまた私は歩き始めた そして思い出す あの夏の終わりに起こった出来事を ――――2010年8月30日 唯「終業式に戻りたい」 澪「戻ってどうするんだ?」 唯「また夏休みやり直す」 澪「でもいつかまたこの日が来るぞ?」 唯「そ、そしたらまたやり直す!」 澪「そんなの無理なんだからさー受け入れて宿題終わらせたら?」 唯「い、良いもん憂に手伝ってもらうから」 澪「自分でやれ!」 唯「ひどい……ねぇりっちゃんもなんか言ってよー」 律「………」 唯「……りっちゃん?」 律「…へっ?あ、ああそうだ!自力でやっても一向に終わらん!誰かに手伝ってもらうべきだ!」 澪「お前誰に手伝ってもらうんだ?」 律「う……それは」 律「ねー、みーおー手伝ってよー!」 澪「いやだ」 律「けちー!悪魔ー!」 澪「……ったく」 澪「ムギは終わったんだよな?」 紬「もちろんよ。旅行行く前には終わってたわ」 唯・律(これが私達との差か) 澪「…でももう夏休みも終わりか」 唯「いやだな」 紬「私ももうちょっと欲しいわ」 律「………」 澪「律、お前そんなに夏休みが終わるのが辛いのか?」 律「……そ、そんなわけないだろ~!私もう大人だからさー……あはは」 確かにその時私はふと律の異変に気がついていたのだが、私が干渉するまでもないと思い何もしなかった ただもしかするとこの時何か行動を移せば事態はあれほど酷くはならなかったのかもしれない ―――8月30日19 00 私の家に電話が入った 澪母「ちょっと澪ー?りっちゃん知らないかーだって」 澪「律がどうしたって?」 澪母「それがね、まだ家に帰ってないんだって」 澪「あいつのことだからその辺ほっつき歩いてるんじゃないかな」 澪母「ほら、昨日起きた"あの事件"の犯人、まだ捕まってないんでしょ?」 澪「"あの事件"………?」 澪母「ほら、例の通り魔よ」 澪「あれってまだ捕まってないの?ていうかあれって隣街で起きたんじゃないの?」 澪母「そうなんだけど、噂じゃもう何人も殺してるらしいわよ?」 澪「じゃあちょっとその辺見てくるよ」 澪母「危ないわよ」 澪「大丈夫大丈夫」 通り魔と言っても「誰かが死んだ」という事実はその時はまだなかった 実際「人を殺した」のはあくまで噂であって、その日の前日に起きた事件も被害者の女性は死には陥らなかった ただ私は律のことが心配でならなかった ―――もしかしたら。 ふとそれを考えただけで私は寒気がしていつもの私ならそこから逃げていたがその時はもうただただ一心不乱になっていた 澪「とりあえず皆にも聞いてみよう」 私は携帯の一斉送信の機能を使ってみんなに連絡を入れた みんなというのはもちろん軽音部を含めクラスメイト達だった ただ律を捜すと言っても正確な場所はわからない 律は電話にも出ないしメールにも返信がない それも含め私は不安で心が押し潰されそうになった そして憂ちゃんの提案で私達軽音部の面々は唯の家に集まった 紬「まだ見つからないの?」 梓「そうみたいです…」 澪「ったくあのバカ」 唯「でも本当にどこ行っちゃったんだろ…」 憂「律さんが良く行く場所ってどこかわからないんですか?」 澪「よく行く場所……かあ」 アナウンサー「昨夜遅くに女性が何者かに傷つけられた事件で未だに犯人が逃走中です。近隣にお住みの方はくれぐれもご注意ください。」 梓「本当に……何もないといいですね」 澪(律……) 私は音楽室の前に来た この扉の中には私達の三年間の思い出が詰まっている それはもちろん楽しい思い出も辛い思い出も 思い出すとちょっと涙が出そうになる なあ、あの頃の私 私は今輝けているか? そんな思いを嘲笑うかのように音楽室の中からは女の子らしくはない声が聴こえてきた 澪「…その通りかもな」 私は微笑を浮かべその思い出の詰まった部屋の扉をノックした ――――23 00 澪「……そうですか」ピッ 唯「どう?」 澪「…まだ帰ってきてないってさ」 梓「……警察にはもう連絡を?」 澪「一応したらしい…ただ例の事件が取り込んでるからちゃんと手が回るかわからないらしい」 紬「澪ちゃん…元気出して?」 憂「そ、そうですよ!」 澪「こんな時に元気が出るかよ…」 律『なー、澪』 澪『ん?』 律『この夏さー、ちょっと行きたい場所あんだよねー』 澪『ほう、楽器店か?』 律『違う違う!ここだよここ!』 澪『山……?なんでまた』 律『まー行けばわかるからさー!ね、お願い!』 澪『覚えてたらな』 澪「!」 そんな何気ない会話をふと思い出し私はすぐさま立ち上がった 澪(確かにあの山はそんな遠くじゃない) 澪(まさかあいつ私が約束を忘れたから一人で…?) 梓「どうしたんですか?澪先輩」 澪「ちょっと出かけてくる!」 憂「危ないですよ!もう夜も遅いしそれに……」 澪「あいつが…待ってるから」 澪「それにさ、後悔したくないんだ」 澪「だってほら律と私は」 ―――無二の親友。 親友が困っていたら助けるのが当たり前だ とは言ってもどうしてあの時の私は歩みを止めることなく何にも恐れることはなく前に進めたのか今となってはわからない 私の背中を押してくれたのは律に対する不安や、心配ではなく紛れもない律自身だったんじゃないかと私は思っている その後私は唯の家を飛び出しその"約束の場所"へと向かった ―――8月31日24 00 もうすでに真っ暗で辺りに人影は見えない まさかこんな形で夏休みの最終日を迎えることになるなんて私は思ってもいなかった 澪「はぁはぁ……この辺りか……?」 山と一概に言ってもそんなに小さな山じゃなく、一体全体どこを見ればいいのかなんて見当もつかなかったがその時の私はもう止まらなかった 澪「!」 その時人が山から降りてきた 手には望遠鏡 はっと私は気が付いた 澪「すいません」 「ん?どうした?」 澪「この山の星空が見えるスポットってどうやって行けますか?」 「これを上に上がってくだけだよ」 澪「ありがとうございます!」 「でもなんでこんな日に?」 澪「え?」 私は空を見上げた 澪「うそ…」 確かに星空を観察できるような天気では無かった 「言っておくけど星なんて見えないよ」 澪「そうですか…」 「そういや変なお嬢ちゃんがいたな……あいつも『星を見に来た』なんて言ってたから早く帰るよう言ったんだけど」 澪「律だ!」 タッタッタ 「ちょっとあんた!」 澪「ありがとうございました!」 「変な人だ…」 私はその後あの場所を目指して一心不乱に山を登っていった やはり今日は曇りだから人が全くいない 澪「はぁ……着いた」 天気が良ければ賑わうであろうその場所に一人ぽつんと仰向けに寝転ぶ人がいた 澪「……律?」 律「来てくれるって信じてた」 澪「お前どれだけみんなが心配してるか―――、 澪「律?」 律「……ぅ…ヒグッ」ポロポロ 澪「どうした?」 律「みーおー!」ギュッ 突然律が泣き出し私に抱きついてきたため私はどうしていいかわからなかった 律「いやだよー!みんなとずっと一緒にいたいよー!」ポロポロ 澪「律……」 澪「…大丈夫だよ、私がずっとそばにいてやるから」 律「ほんとう…?」ポロポロ 澪「当たり前だろ?私達親友なんだからさ」 律「うわああああん」ポロポロ 澪「よしよし…」 律を泣き止ます間私も泣いていたことなんて律は知らないだろう 何せあんなことを律が思っていたなんて知らなかったからな ――――25 00 私達は泣き止み今までの思い出を語り合っていた 律「今考えてみたらさー、本当に良かったと思ってる。軽音部に入って」 澪「私も」 律「ずっとずーっと演奏してたいな皆と」 澪「ああ」 私はまだ律に聞いていないことがあった 澪「なあ律…?」 律「ん?」 澪「そういやなんでこんな曇ってる日に星なんて見に来ようと思ったんだ?」 律「……」 澪「星なんてひとつも…」 律「……見えるよ」 澪「どこ?」 「目には見えないよ」 澪「?」 まさかそんな深い言葉をまさか律に言われるとは思わなかった でもその言葉の意味はいつか皆とやった花火の時にムギが言った言葉の意味に近いものがあったんだろう 律なんかでも未来への不安やそういう心が私の知らないうちに覚えていたかと思うとちょっぴりホッとした 私はふと律の顔を見ると律は目を閉じていた 澪「眠いのか?」 律「違うよ。星を眺めてるんだ」 澪「星を?」 律「こうやると見えるんだ」 そう言われ私も同じように目を閉じた タッタッタ 律『みーおー!』 澪『ん?』 律『軽音部入ろうぜー!』 思えば律のあの言葉から始まった私の物語 例えいつかこの物語が終わる日が来たとしても私は忘れることはないだろう 唯『澪ちゃん!』 ちょっぴり天然な平沢唯 紬『澪ちゃん』 お嬢様の琴吹紬 梓『澪先輩』 しっかり者の中野梓 律『澪!』 そして親友の律 目を閉じたら確かに見えた気がした 今まで見たことがない綺麗な星空が 目を開けると律が私の顔をじっと見ていた 律「見えた?」 澪「見えた……かも」 律「そっか…」 お互いどんな星が見えたかなんて聞きもしなかった なぜならそう、私も律もきっと同じ星空を見ていると思ったからだ ふと律の顔を見ると目があってドキッとした 律「………」 澪「………」 律・澪「あ、あのさ」 律・澪「!」 律「お前から言えよ!」 澪「いいよお前で!」 律「えと……じゃ、じゃあ……」 律「その……今日はありがとうな」 澪「………クス」 澪「あはははは!」 律「なっ……おい澪、こっちは真面目に言ってんだぞ!」 澪「あー、悪い悪い」 律「……で、澪は?」 澪「なーんか変な空気になったから言わない!」 律「卑怯な!」 実際私も律と同じことを言おうと思ってた これから先楽しいことだけじゃない、辛いこともあるだろう でも律と一緒なら…… ……一緒なら大丈夫。そんな気がした 3
https://w.atwiki.jp/moemoequn/pages/76.html
―――2010年8月13日 ミーンミンミン 夏休みがあと2週間くらいで終わってしまうという時、私達は唯の家で"勉強会"という名のお茶会をやっていた 唯「なぜこんなにも夏休みは早いんだ」 澪「まあそんなもんだろ夏休みなんて」 律「私を置いていかないで~!シクシク」 紬「大丈夫よ、りっちゃん。まだ夏休みは来年もあるわ!」 澪「来年か……一体何やってんだろうな」 唯「来年は海に行こう!」 律「おっいいね!賛成!」 澪「そうだ、来年もそうやって笑っていられるように今精一杯勉強するんだ」 紬「そうよ、今くらいしかできないんだから」 澪(仲間がいるって嬉しいよームギ!) 紬「海水浴は」 澪「そっち!?」 憂「皆さん頑張ってくださいね!私も応援してますよ」 唯「あぅー」グテー 唯「うーいー!」 憂「どうしたの?」 唯「ここわかんなーい」 憂「えっとねここは……」 律(なんで教えてもらってんだよー!) 澪(こんなんで大丈夫なのか……?) 今思い出すと笑い事だが当時はもう先が見えず毎日が鬱だった この勉強方法で本当に大学に行けるのー、とか 大学に行っても幸せな生活をすることができるのー、とか でももしかすると私のこの性格には学校の先生というのが性に合っていたのかもしれない まあまだまだ私は若いから仕事も終電ギリギリの時間に帰らされることも多々あったり、ましてや"あんな部活"の顧問にまでなってしまったのだから毎日が高校時より大変だというのは言うまでもないが もちろん勉強づくし(?)の夏休みにもたまに部活に行ったりはした 梓「…ってせっかくこうやって集まったのに」 唯「いやー美味しいねー!」 律「おかわり!」 紬「はいはい」 梓「どうしてまたお茶会なんてやってるんですかー!」 唯「どうして………って、ねぇ」 律「ま、まあそういうことだよなあ」 紬「ごめんなさい……私がこんなもの持ってくるからいけないのよね」 澪(いや、実際そうかもしれない) 梓「あ……え…と」 梓(ムギ先輩には怒れない……ってまさか!) 唯「作戦通りだねりっちゃん!」ヒソヒソ 律「だな」ヒソヒソ 梓「う……」 澪「はいはい、練習やるぞー」 唯「えー!」 澪「せっかく集まったのにもったいないだろ…だいたいお茶会なんて夏休み中にも時々やってるって言うのに」 梓「そ、そうですよー!皆さんやりましょうよ!」 律「……んじゃ、やるかあ」 学校に着いた私は車を停め、職員室に向かった ガラガラガラ 「こんにちはー」 とは言っても今はお盆休み 職員室にはあまり先生方はいなかった 「あー!澪ちゃ…」 「ゴホン」 「こんにちは、秋山先生」ニコッ 澪「そろそろ慣れてくださいよ、山中先生」 さわ子「にしても今日は暑いわねー」 澪「本当ですね」 さわ子「今日は?」 澪「ああ、えーと部活動があって…」 さわ子「"あんな部活"に入って、やっと私の大変さがわかってきたんじゃない?」 澪「"あんな部活"とか言って、先生だってたまに部活に行ってるそうじゃないですか。顧問でもないのに」 さわ子「忘れられないのよ」 澪「?」 さわ子「あの紅茶の味が」 澪「私はとっくに忘れちゃいましたよ」 さわ子「そう。でも今もまだやってくれてるじゃない、お茶会」 澪「いやな伝統ですよ。ろくに練習してくれませんし」 さわ子「あなた達も一緒だったでしょ?」 澪「……まあ」 澪「ってヤバい!時間だ!」 澪「では山中先生」 タッタッタ さわ子「あらあら……すっかり先生らしくなっちゃって」 さわ子(きっとあの時の私も今の澪ちゃんみたいだったのよね…) さわ子「……フフ」 さわ子「軽音……ね」 澪「遅刻だ遅刻ー!」 澪「………!」 と、その時階段の前でふと私は歩みを止めた そう、一瞬あの頃に戻ったような気がしたからだ 大人になってから昔修学旅行で行った場所やよく皆で遊んだ場所にあの懐かしさを求めて出かけてみてもどうもしっくりこないのだが、今はどこか違った そんな思いを抱きながら再びまた私は歩き始めた そして思い出す あの夏の終わりに起こった出来事を ――――2010年8月30日 唯「終業式に戻りたい」 澪「戻ってどうするんだ?」 唯「また夏休みやり直す」 澪「でもいつかまたこの日が来るぞ?」 唯「そ、そしたらまたやり直す!」 澪「そんなの無理なんだからさー受け入れて宿題終わらせたら?」 唯「い、良いもん憂に手伝ってもらうから」 澪「自分でやれ!」 唯「ひどい……ねぇりっちゃんもなんか言ってよー」 律「………」 唯「……りっちゃん?」 律「…へっ?あ、ああそうだ!自力でやっても一向に終わらん!誰かに手伝ってもらうべきだ!」 澪「お前誰に手伝ってもらうんだ?」 律「う……それは」 律「ねー、みーおー手伝ってよー!」 澪「いやだ」 律「けちー!悪魔ー!」 澪「……ったく」 澪「ムギは終わったんだよな?」 紬「もちろんよ。旅行行く前には終わってたわ」 唯・律(これが私達との差か) 澪「…でももう夏休みも終わりか」 唯「いやだな」 紬「私ももうちょっと欲しいわ」 律「………」 澪「律、お前そんなに夏休みが終わるのが辛いのか?」 律「……そ、そんなわけないだろ~!私もう大人だからさー……あはは」 確かにその時私はふと律の異変に気がついていたのだが、私が干渉するまでもないと思い何もしなかった ただもしかするとこの時何か行動を移せば事態はあれほど酷くはならなかったのかもしれない ―――8月30日19 00 私の家に電話が入った 澪母「ちょっと澪ー?りっちゃん知らないかーだって」 澪「律がどうしたって?」 澪母「それがね、まだ家に帰ってないんだって」 澪「あいつのことだからその辺ほっつき歩いてるんじゃないかな」 澪母「ほら、昨日起きた"あの事件"の犯人、まだ捕まってないんでしょ?」 澪「"あの事件"………?」 澪母「ほら、例の通り魔よ」 澪「あれってまだ捕まってないの?ていうかあれって隣街で起きたんじゃないの?」 澪母「そうなんだけど、噂じゃもう何人も殺してるらしいわよ?」 澪「じゃあちょっとその辺見てくるよ」 澪母「危ないわよ」 澪「大丈夫大丈夫」 通り魔と言っても「誰かが死んだ」という事実はその時はまだなかった 実際「人を殺した」のはあくまで噂であって、その日の前日に起きた事件も被害者の女性は死には陥らなかった ただ私は律のことが心配でならなかった ―――もしかしたら。 ふとそれを考えただけで私は寒気がしていつもの私ならそこから逃げていたがその時はもうただただ一心不乱になっていた 澪「とりあえず皆にも聞いてみよう」 私は携帯の一斉送信の機能を使ってみんなに連絡を入れた みんなというのはもちろん軽音部を含めクラスメイト達だった ただ律を捜すと言っても正確な場所はわからない 律は電話にも出ないしメールにも返信がない それも含め私は不安で心が押し潰されそうになった そして憂ちゃんの提案で私達軽音部の面々は唯の家に集まった 紬「まだ見つからないの?」 梓「そうみたいです…」 澪「ったくあのバカ」 唯「でも本当にどこ行っちゃったんだろ…」 憂「律さんが良く行く場所ってどこかわからないんですか?」 澪「よく行く場所……かあ」 アナウンサー「昨夜遅くに女性が何者かに傷つけられた事件で未だに犯人が逃走中です。近隣にお住みの方はくれぐれもご注意ください。」 梓「本当に……何もないといいですね」 澪(律……) 私は音楽室の前に来た この扉の中には私達の三年間の思い出が詰まっている それはもちろん楽しい思い出も辛い思い出も 思い出すとちょっと涙が出そうになる なあ、あの頃の私 私は今輝けているか? そんな思いを嘲笑うかのように音楽室の中からは女の子らしくはない声が聴こえてきた 澪「…その通りかもな」 私は微笑を浮かべその思い出の詰まった部屋の扉をノックした ――――23 00 澪「……そうですか」ピッ 唯「どう?」 澪「…まだ帰ってきてないってさ」 梓「……警察にはもう連絡を?」 澪「一応したらしい…ただ例の事件が取り込んでるからちゃんと手が回るかわからないらしい」 紬「澪ちゃん…元気出して?」 憂「そ、そうですよ!」 澪「こんな時に元気が出るかよ…」 律『なー、澪』 澪『ん?』 律『この夏さー、ちょっと行きたい場所あんだよねー』 澪『ほう、楽器店か?』 律『違う違う!ここだよここ!』 澪『山……?なんでまた』 律『まー行けばわかるからさー!ね、お願い!』 澪『覚えてたらな』 澪「!」 そんな何気ない会話をふと思い出し私はすぐさま立ち上がった 澪(確かにあの山はそんな遠くじゃない) 澪(まさかあいつ私が約束を忘れたから一人で…?) 梓「どうしたんですか?澪先輩」 澪「ちょっと出かけてくる!」 憂「危ないですよ!もう夜も遅いしそれに……」 澪「あいつが…待ってるから」 澪「それにさ、後悔したくないんだ」 澪「だってほら律と私は」 ―――無二の親友。 親友が困っていたら助けるのが当たり前だ とは言ってもどうしてあの時の私は歩みを止めることなく何にも恐れることはなく前に進めたのか今となってはわからない 私の背中を押してくれたのは律に対する不安や、心配ではなく紛れもない律自身だったんじゃないかと私は思っている その後私は唯の家を飛び出しその"約束の場所"へと向かった ―――8月31日24 00 もうすでに真っ暗で辺りに人影は見えない まさかこんな形で夏休みの最終日を迎えることになるなんて私は思ってもいなかった 澪「はぁはぁ……この辺りか……?」 山と一概に言ってもそんなに小さな山じゃなく、一体全体どこを見ればいいのかなんて見当もつかなかったがその時の私はもう止まらなかった 澪「!」 その時人が山から降りてきた 手には望遠鏡 はっと私は気が付いた 澪「すいません」 「ん?どうした?」 澪「この山の星空が見えるスポットってどうやって行けますか?」 「これを上に上がってくだけだよ」 澪「ありがとうございます!」 「でもなんでこんな日に?」 澪「え?」 私は空を見上げた 澪「うそ…」 確かに星空を観察できるような天気では無かった 「言っておくけど星なんて見えないよ」 澪「そうですか…」 「そういや変なお嬢ちゃんがいたな……あいつも『星を見に来た』なんて言ってたから早く帰るよう言ったんだけど」 澪「律だ!」 タッタッタ 「ちょっとあんた!」 澪「ありがとうございました!」 「変な人だ…」 私はその後あの場所を目指して一心不乱に山を登っていった 3/4
https://w.atwiki.jp/c21coterie/pages/112.html
制作者 ゲーム関係の仕事探しています堀江 伸一 sin-horie@mvd.biglobe.ne,jp ここではゲームシステムの分析や制作に、カオス理論を導入すれば役に立つことを提唱する。 カオス理論とは数学の一分野であり、シミュレーションの予測不可能性の基礎として有名な理論である。 この理論をゲーム制作や評価の現場に応用することで、単調でつまらないゲームシステムからの脱却を計画的に行えるようになる。 ここではマリオカートのカオス理論による分析を通して、カオス理論が役に立たない理論でないことを証明し、開発現場の製作費カットに役立つことを証明する。 なぜマリオカートはいつまで遊んでも飽きにくいのか(改訂版) 章タイトル 難しい理論 感覚的な理論 大学生ならわかる説明 高校生でもわかる説明 マリオカートのよさを分析して新しいゲームの作成に活かす方法 難しい理論 マリオカートはドリフトとミニターボの連続によってタイムを上げていく。 ドリフトによる旋回とミニターボの連続はコース上でのカートの動きにカオス系をもたらし、カートはカオス軌道の中を回ることになる。 これにより、カートの軌道はコース内で無数に選択でき多様性も生まれ、いつまでも飽きにくいゲーム性が生まれる。 感覚的な理論 マリオカートDS(私の場合Wifi対戦ではケンジという名前で参加、弟のDSを借りている)キノコリッジウェイ1分58秒(キノコリッジ以外練習していない)と鈍足な俺がゆうのもなんだけど。 感覚的にいえば、タイムがあがってくるとだんだんカートを走らすというより、カートが最速軌道へ向かって落ちるだけという感覚になるんだな。 俺がカートを走らせているのではない、水が低いところに流れるようにカートが勝手に落ちていくんだ、その結果が最速軌道。 でこのタイムになってくると、自分がミニターボの連続のなかを走っているという感覚だけが残り、全てのコーナーに意味がなくなってくる。 ミニターボとドリフトをひたすら連続させてカオス軌道を選択しつづけ、それがたまたまコーナーの流れと一致している。 カートはコーナーを離れ完全にカオス軌道の中だけを走っている。 そのために軌道の選択が無数にあると感じいつまでも飽きない。 大学生でもわかる理論 実力がそこそこのうちは、カートの軌道は一回一回のドリフトが独立しているので誰もが安心して操作できる。 うまくなると速度が上がりドリフトが連続でつながりミニターボの回数が増え、カートの軌道はカオス系に近づいていく。 うまくなるほどにゲーム性が変わっていく。 これを数式で解説しよう。 i番目のコーナーでのドリフトをfi、コーナーに入る前のカートの状態をxi、コーナーから出た後のカートの状態をfi(xi)とする。 yi=fi(x)) そこそこの実力のうちは速度が上がらないためドリフトの後直線で修正がすむため、 どのコーナーでも yi=fi(xi) が成り立つ。 うまくなるとドリフトがつながりだし y1=f1(x) y2=f2(f1(x)) ,,, yn=fn(fn-1(,,,f1(x),,,)) に近づいていく。 このfの連続はカオス系を生み出す連続写像の近似である。 そしてうまくなるほどに直ドリなどが増えfの数が増えていく。 次にドリフトを測定してみよう。 ドリフト時、十字キーを何も操作しなかったときの、カートの軌道をL1。 ドリフト時右ボタンと左ボタンを操作したときのカートの軌道をL2。 左右ボタンを押すとカートは回転し、カートを動かすベクトルの向きが大きく変わる。 軌道が大きくずれるがこのL2とL1のドリフト終了時の位置とカートの向きの差をa,b. 更にその後のミニターボの加速により生まれる、カートの位置と向きと速度の差の組をcとする。 このa,b,cを測定基準とし、コース内にとどまろうとするユーザーの操作を勘案すれば、コース内にカオス系が生まれていくことを確認できる。 高校生でもわかる理論 現在製作中 マリオカートのよさを分析して新しいゲームの作成に活かす方法 改造案 マリオカートのよさを分析して新しいゲームを作る方法。 その1 カートの操作系を微改造するか増やす(具体的には高さ方向の動きを加えた新しいカートを考える) その2 ゲーム中、ゲームに大きな影響を与えるいくつかの変数。 これを操作する写像にカオス系と線形系の2つを用意。 線形の写像では、安定しているがゲーム内での評価が低い(スコアが低いとか速度が上がらないとか、敵を一掃できないとか) カオス系の写像では、変数がカオス軌道の中を動くがゲームオーバーと大スコア(敵の一掃とかハイスコアや最速)などがカオス軌道の中に入り混じっている。 これら変数の操作を、ユーザーにわかりやすい納得できる形で提示でき、それが画面の派手さや爽快感、気持ちよさで包むことができたら、 そのゲームは良いゲームとなる。 制作者 ゲーム関係の仕事探しています堀江 伸一 兵庫県加古川市加古川町南備後79-16 sin-horie@mvd.biglobe.ne,jp カオス理論を使ったゲーム第2章誤差修正
https://w.atwiki.jp/83452/pages/2847.html
「憂や律っちゃん達の花を植えなきゃ」 和「アシスト」 唯「」クンクン 唯「あ、憂ー」 田井中律「え?廃部した?」 梓「私、いつまでも先輩たちの傍にいます!」 澪「なあ唯」 唯「あずにゃん、昨日私達が帰った後部室で何してたのかな?」 唯「だいじょうぶだ…おれはしょうきにもどった!」 唯「ヘアピンの封印を解く時が来たよ・・・」 唯「ツモ!領上開花!!」 姫子「あ……消しゴム忘れた…」 律「たんぺん!」 唯「ムギちゃん、アルバイトしてるって本当??」 唯「ましまし!」 唯「けいろうのひ!」 唯「憂って邪魔だよね、あずにゃん」 紬「放課後たくあんタイム」 唯「ねえ、あの頃のわたし心配しなくてもいいよ」 律「妄想が止まんない」 憂「夜」 その1 その2 その4 その5 その6 その7 その8 その9 その10 戻る
https://w.atwiki.jp/dqff1st/pages/813.html
「ふふふくくくくくははは…」 その男の喉から漏れる不気味は含み笑いは、機械の動作音によってあっさりとかき消された。 緑色のローブを頭からすっぽりとかぶった男、エビルマージは血走った目をぎょろりと回して、培養槽のリュックを見た。 ローブの下に常軌を逸した笑みを浮かべ、彼は培養槽の下のパネルに手を伸ばした。 カタカタカタとパネルを叩く音が響き始め、機械動作音が、今度はそれと不気味な和音を奏でだした。 やった、勝てる。俺はゾーマに勝てるぞ…! 愚かな参加者共は全員脱出し、仮想世界との連絡ゲートは閉じられた。 その事での叱責…否、制裁が来ることも危惧していたが、どうやらその余裕もないらしい。 何から何まで都合がいい。参加者とゾーマはどちらかが全滅するまで闘うだろうし、それに… それだけの時間があれば、究極の生命体はこの世に具現化する。 すでに、見当は付いている。 この女は究極生物の欠片を扱いこなし、しかしその究極生物は培養槽の肥やしに過ぎない状況にある。 その違いは一つ。黄金の腕輪。進化の秘宝。それを使ったか、否か。 その情報さえ得られれば、その理論さえ解明できれば、究極生物は完成し、この俺は大魔王に、ゾーマなど問題にならぬような大魔王になれるハズだ。 その理論を解明する鍵が、この女だ。 この女はしばらく秘宝を身につけていた。だが、身につけても効果を知らぬ事には扱えるはずもない。 効果を何処で知ったか…恐らくは腕輪から引き出したのだろうが、そんなことはどうでもいい。 問題は、それをこの女がまだ“覚えている”と言うことだ。 この女はまだ進化を続けている。エネルギーの再利用、変換両方の効率が異常に引き上げられ、欠点を補い長所を伸ばし続けている。 腕輪がないのに進化が続いている。どこかに進化を促進するモノ、進化の秘宝の情報がどこかに保管されているのだ。 俺はパネルを操り、女の体の中…物理的なモノではない、精神的な深淵にアクセスした。 普通に考えれば、その情報が眠っているのは脳だろう。だが、デリケートなソレをいじって壊してしまってはつまらない。 俺は女の中の魂にクラックをかけた。 魂とは、死後もその存在を維持し続けられることからも分かるように、肉の塊の脳髄よりずっと頑丈だ。 そして、生まれ変わりなどの事例を見ても分かるように、魂は個人の情報をより未来へ確実に届けることが出来るのだ。 女の魂は、ぐちゃぐちゃに乱れて、解析しても無意味な文字の羅列にしか過ぎない。 これは別種の生物になってしまい、それ故に人だったときの理論的な思考が消えてしまったためだ。 だが、この魂を修復し、そこから情報を取り出すことは簡単である。 俺は自分が歓喜のあまり汗だくになっていることを自覚しながらその作業を開始した。 私は、もう何もない。 何もないと言うことを考えるだけの余裕はあるようだが、それだけ。 どれだけ前からこうしているのだろう?もう分からない。五感はすでに消失している… かちり と、突然なにかが繋がる音がした。一体、何? それはすぐに知れた。ガラスの外の鉄の部屋、ボコボコと言う気泡の音、臭いも味もない水の感覚。 全く全然なんの前触れもなく、私は全ての感覚を取り戻した。 かちり、かちりかちりかちりかちりかちり! 繋がる音が連続して聞こえてくる。それと一緒に、今度は記憶が溢れ出す。 アーロン、ティーダ、ユウナ、ルールー、ワッカ、ゲーム、ゾーマ、進化… 次々いろんな事が溢れ出してきて、最後のかちっと言う音が聞こえた瞬間、 私はさっぱりすっきり、これからどうするべきかと言うことまで一切合切を自分の手に取り戻したのだった。 俺は一瞬意識を失うのを自覚しながらへたり込んだ。 やった。目の前の画面に、進化の秘密の全てが文字情報となって示されている。 ははっ、はははははくはははははあははははははははははははははあはあははははあはははははっ!! 全身をどんな女を抱いたときよりも激しい快感が突き抜ける。涎と汗と涙とが、止めようとしても止まらない。 この女の魂の修復は完了、情報は全て俺のモノだ!ざまあみろゾーマ!俺の勝ちだ!俺の勝利だ! 「俺は大魔王だぁっ!」 これ以上ないほど快楽に溶けた顔でおれはさけんだ。そしte…? そして、エビルマージは仰向けに倒れ伏した。倒れたとたんばくっ、と言う音がして身体が真っ二つになる。 真っ二つ。登頂から股間まで、最初から別々のモノだったかと錯覚するほどに綺麗に。 直後には、培養槽がはぜ割れて、中から怪物ではない人間の女が、リュックが飛び出した。 培養液で濡れた金色の髪を撫でつけて、皮膚が変じたいつもの服を軽く叩き水気を取る。 彼女の放った真空波で真っ二つになったエビルマージを腹立ち紛れに蹴りつけた。 エビルマージのミスは、欲しい情報を見つけるためにリュックの魂…こころを修復してしまったことだ。 魂が修復され、意思を取り戻したリュックは、機械を通してしかソレを認識できないエビルマージよりも確実に、それを理解したのだ。 リュックは一カ所ずつ確かめるように、体を動かす。 身体と魂とを完璧な状態にしたエビルマージのおかげで、今のリュックは完璧に進化を制御できる。 もっとも、究極生物を法則ごと飲み込んでしまったリュックは、すでにリュックではなく、生物とリュックが混じり合って生まれた新生物だ。 だが、彼女は自分がリュックであると確信しているし、リュックと呼んでも差し支えはあるまい。 リュックは傍らの大きな培養槽の、その中にある究極生物の姿を見上げた。 同じ細胞を持ったソレに、リュックは進化した力を持って干渉する。 同じ細胞だからこそ干渉することが出来、そして干渉の結果はシンプルだ。 アポトーシスを命じられた究極生物は、己より進化した存在にひれ伏し、彼女の意思通りに己を殺した。 培養槽の中でぐずぐずと溶けていく究極生物に興味を失い、リュックは部屋の外に飛び出した。 「ティーダ、アーロン、みんな…私が助けるからね!」 リュックか力強く叫ぶ。 みんなを助ける、自分になら出来る。だから、そのために! 彼女はゾーマを探して疾駆した。 【リュック(進化完全制御) 所持品:なし 最終行動方針:ゾーマを倒し、仲間を救う】 【現在位置:エビマジの研究室から外へ】 【エビルマージ 死亡】 ←PREV INDEX NEXT→ ←PREV リュック NEXT→ ←PREV エビルマージ NEXT→死亡
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/222.html
3.0話 「遺品」 ※時系列として、エルゴに6人用新型筐体が入るずっと前、 チアキ氏が実体剣を探すのよりも前のお話です。 つまり書くの遅いかr(ry) 1 遮蔽物のない荒野を光の槍が貫く。 狙われているのは日本刀を1本だけ装備したマオチャオ型MMS。 「なんでレーザーを避けられるのよ?!」 対するはLC3レーザーライフルとアームブレードを装備し、 射程と運動性能を両立、さらに格闘までもカバーしたハウリン型MMS。 どれほど狙い済ました一撃を放とうともマオチャオ型MMSにはかすりもせず、 装備の重量差から急速に間合いを詰められつつあった。 カチリ 「くっ」 ライフルの電池が切れた。 大出力かつ長射程なだけに何発も撃てる銃ではないのだ。 だが戦いはこれからだ。 格闘に入られたとしても装甲とブレードで互角以上に戦える… そう判断しレーザーライフルを捨てたハウリン型MMSの視界から、 忽然とマオチャオ型MMSが消えた。 「?! どこにいっ…」 どすっ 喉元に強い衝撃うけ、それ以上言葉を吐けなくなる。 消えた筈のマオチャオ型MMSに首を刺し貫かれたからだ。 なんで… 見てたのに、見えなかった…? ビ―――――――――ッ 試合終了を告げる電子音が鳴り響く。 『Winner,マオ 現在8人抜きです』 「あと2人!」 「うぇぇ、絶対おかしいよぉ;」 こっちのアクセスポッドの中で神姫が気合を入れ、 あっちのアクセスポッドでは神姫がしょんぼりしている。 ここは仕事の帰りに立ち寄った玩具屋[ホビーショップ・エルゴ]。 自動ドアの向こうはとっぷりと暮れてます。 あのー、もう帰りたいんですががががが; 2 俺は柏木浩之、20歳のしがない公務員でございます。 いきなり尋ねて来た神姫に衝撃の事実を告げられたり、 グスグス泣きながら話すソイツがもーなんていうかなんていうかで思わず 「大丈夫だ! お前には俺がいる。 父親が同じなんだから俺達は兄妹だぜ!」 とか言っちゃったり; 恥ずいわ(////) イキナリ一人ぼっちになって尋ねて来た我が妹を、 ひろーい部屋(神姫基準)に置いて行く訳にもいかず… 結局同伴出勤に相成りました。 職場では前日に引き続き『地区も部署も違うんじゃぼけぇぇ』な電話がかかってくるが 上司に掛け合い「や、俺なんか今日は情緒不安定だから何イッチャウカワカラナイヨ?」 と電話に出るのは免除してもらう。 マオに火事の事を1日中聞かせる訳にもいかねーしな… ちょいちょい んー? 内ポケのマオがシャツを引っ張ってる。 「兄様(←お兄ちゃんは流石にグハァなので変えてもらった)、 やっぱり私、ついて来ない方が良かったのではありませんか…?」 ああ、気ィ使わせてると思ってるのか。 実際使ってるが、寝言で「おとうさん…ひぃっく…ごめんなさい…ごめんなさい…」 なーんて泣かれるとな、コイツは俺が守る!みたいな気になる訳ですよ。 「うっせ。 俺がお前と一緒にいたいんだ。 こーんな可愛い妹とベタベタできて俺様、今とても幸せです。(←小声)」 「ひゃ?! か、かわ、か、か、かぁ、兄様ぁ~~~~っ」 もぞもぞ…すりすり… ほお擦りしてやがる。 ああ畜生っ、可愛いなぁもぉ。 まったく人殺しの道具とは思えんな。 ま、人間だってソノ気があれば誰でも簡単に人を殺せるんだし、 んなもん大した事じゃ無い。 3 きーんこーん… きーんこーん… 終業の鐘と同時に職場が騒がしくなっていく。 「柏木柏木、飲みいかんか?wwっうぇwww」 同僚の内藤だ。 限りなく怪しい口調と挙動だが、これでも友情に厚いナイスガイである。 これでも。 いやホント。 ちなみに逆毛だ。 「あー悪ぃ、買い揃えないとならない物があってな」 「それはw残w念wだw んじゃまたの機会にwwwwwww」 「おう」 あ、そーいやコイツたしか… 「待て」 「おほ?w 何かなMyブラザー?wwwww」 ブラザーはやめれ。 「お前さー、武装神姫持ってたよな?」 「いかにもwwwっうぇw だが”持ってる”ではないぞMyブラザー? 正しくは”同棲してる”だwwwwっうぇうぇww」 だからブラザーはやめれと。 つか同棲かよ。 …そうかも。 いやいや。 あ、今俺の背広の中から「ふぇ…同棲…はぅ~」なんて声が聞こえましたよ? 「買い物というのはだな、実は神姫用の家具なのだよ」 「そぉぉんかぁぁぁぁっ!w お前もwとwうwとwうw染まった訳だなwwwwwwwww」 「いや待て。 染まったとかそうゆう………はこの際気にしないでおこうか」 気になるが。 「なに、そこいらのトイジャラスにでも行こうと思っていたのだが、いい店があれば、とな」 4 「こぉぉぉっこがぁ![ホビーショップ・エルゴ]ぅぉおおおおおっ!!1!うぇwwww」 「内藤…店先で叫ぶな。」 いつもの通勤経路から少し外れた所にその店はあった。 こじんまりとしてはいるが、清潔感のある模型店ではある。 「ふむ、オタクな趣味に精通したお前の事だ… 見た目とは違う、並みの店ではないのだな?」 「当w然wだw 最新の商品は元よりッ!過去の名品も豊富に揃えッ! 尚且つ探しやすく見やすいレイアウトッ! 店頭にないどんなレアな商品でも、確w実wにw入w荷wしwてwみwせwるwその手腕ッ! さらには販売、登録、修理、カスタマイズやオリジナルパーツの製作まで何でも御座れの、 まwさwにw神姫のプゥゥゥロフェッシェネル!!1! だがMyブラザー、それよりも、ここには今のお前に真に必要なサァァァヴィスがあるのだよwwっうぇw」 ぬ? 「Myブラザー…俺らが役場で職務に励んでる間、愛しのMyハニィィィを 1人にしておくおつもりかね?」 「むむ、確かにその通りだ…」 今は一緒にいるが(in内ポケ)、これから毎日ずっと同伴出勤という訳にもいくまい。 「そこでだッ! 人に学校があるようにッ!」 言いながら店内へと足を向ける内藤。 自動ドアが開くと、中から紅白2色の服を着た神姫がふよふよと飛び出してきた。 「ごしゅじんさまー、お仕事ごくろうさまですのーv」 「おぉぉぉMyハニィィィw よい子にしてたかなぁぁぁんwっうぇwwwwwwwwww」 巫女さん?! というかこの神姫、翼も無いのに浮いてますよ?! 長い黒髪の、どー見ても巫女さんな神姫は内藤の肩にふわりと着地すると、 俺の事をじーーーーーーーっと見て。 「ご主人様、このかたはどなたですのー?」 「クククッ、良くぞ聞いてくれたMyハニィィィ。 こやつこそが我が心の友、 Myブラザー”柏木浩之”だッッッ!!1!」 だからブr 「あらあらぁ、貴方があの柏木様なのですねー。 わたくしは内藤様にお仕えする”小姫”といいますのー ご主人様がいつもお世話になっておりますー」 ぺこり。 「あ、いやいやこちらこそ。 えーっと、内藤…その子メーカーのラインナップに無いよな?」 「いかにも! Myハニィィィは俺様が心血注いでカスタマイズした、 まwさwにw大w和w撫w子w型w神w姫なのだwwwwwwwwwww」 あー、二人ともすっげぇ誇らしげ。 愛しとるんだなー。 ちょいちょいっ ちょいちょいっ あ、そうか。 「マオ、出ておいで」 もぞりっ マオが中から顔を出し、背広の襟を掴んだ手を支点にしてくるっと飛び上がる。 俺の肩に難無く着地。 「おいおいw お前家からずっと一緒だったのかよwwwww 仲良すぎwwっうぇwww」 「えと、私は柏木浩之様の…」 マオがちらちらとこっちを見る。 「妹」 「あ、はい。 私は柏木浩之の妹でマオといいますっ 兄がいつもお世話になっております」 ぺこり。 間。 「Myブラザー…そうか、そうかお前…もうそんな高みにまで到達していたのかッ!」 え、ちょ、ちょっと待っ つーか人の肩掴んで男泣きすんなっ! 「なればこそ、なればこそだッ! そんなお前だからこそ、”神姫学校”なのだッッッ!1!!」 やめてくれ…; 市民の皆様が奇異な目で観ていらっしゃるではないかっ 「さあいざ行かん!w Myブラザァァァ!wwっうぇwwww」 「おいおいおい! なにも引っ張らなくても…わぁぁ!」 自動ドアをくぐり、内藤と共に店内に足を踏み入れた。 …むしろこれは拉致くさくないですか? 「いらっしゃいませー やぁ、内藤君」 「店長、毎度w うさ大明神様、ごきげんようwwwww」 店長さんは俺らとそんなに歳変わらんみたいだな。 で、うさ大明神様…って? 「う、うわぁ!」 そこにいたのは、首…というか胸像? 「内藤さん、こんにちわ。 ほらマスター、やっぱり驚かれるじゃないですか。 ボディ買ってくださいよ」 「いや、大明神様が居なくなったら純真な子供達の夢が壊れるだろ」 大明神様とやらが据えられているのはミニチュアサイズの教室、その教壇の上。 「内藤、もしやこれが…その”学校”か?」 「おうともよw 神姫が人間社会について学ぶw、友達も出来るw、 寂しい思いをする事も無いwwwww まさに今のお前とマオ嬢に必要なもんだろう?wwwwっうぇwww」 そうか…そうかもしれない。 膨大な知識を蓄えているマオだが、多くの人や他の神姫と実際に交流した事はない。 なにより今コイツは”俺しかいない”のだ。 それって、良い事じゃないよな? 「マオ、どうだい? 学校、通ってみないか?」 「学校、ですか…」 小首を傾げてちょっと考え、 「はい、通いたい、です」 「だってさ店長w」 「うん、それじゃあこの書類に…あと…」 あ、小姫ちゃんが空中でくるくる踊ってる。 嬉しいのかな。 「Myハニィィィ、Myブラザーが手続きしている間、マオ嬢に店内を案内して差し上げなさいwwwっうぇw」 「はぁーい、ごしゅじんさまー」 すいーっと俺の肩まで来ると、マオの手を取り。 「さー、いきましょーですのー」 「え、でも」 ちらちら。 「いいよ、行ってこい。 内藤の神姫なら信用していいだろ。 手続き済んだら行くからさ」 5 とりあえずはベットにクローゼット、充電用のクレードル、服も適当に選んどいてやるか。 「内藤、こんなもんか?」 「そうだなwっうぇww だが、巫女服はw必w須wだwぞ? Myブラザーwwっうぇwwwww」 「結構です」 ……… さてとマオはどこに…ああ、いたいた。 武器コーナーのガラスケース前にぺたりと座り込んでいる。 目を輝かせて見るそれは、1本の神姫サイズの日本刀。 なんかこれ…素人目にも、明らかに並みの代物じゃないのが解る。 「それが気に入ったのか?」 「はい、とても綺麗で… でもこれ」 刀を指差し、そこからついっと下に向きを移動させる。 「価格表示が白紙なんですよ」 は? なんじゃそりゃ。 「OH! お目が高いマドモアゼルぅ! その! 刀は! ガァベラ・ス・ト・レェェェェェット!!!11!」 「またの名を”菊一文字”といいますのー。 本物の日本刀とまったく変わらない、労力と血と汗の結晶ですのー」 待て待て待て、菊一文字だと? それって将軍家御用達の刀じゃないか! 「ああ、それかい? 実体剣としては間違いなく最高峰なんだけどね、 使いこなすのが難しいんだ。 値段も半端じゃ無いからシミュレーターで資質を証明できた人だけに売ってるんだよ」 「えと…店長さん、半端無い値段とわ?(―_―;」 「ぶっちゃけ俺らの給料の1年分wwwっうぇwww」 な、なんだって―――――――――っ! Σ(| |) 値段まで本物の日本刀並かよ! 「え、あ、いや、刀なんか見てナイデスヨ?」 マオさん、すっげーぎこちないです。 「まぁまぁ、とりあえず試に使ってみない? シミュレーターでなら壊す心配も無いしね。」 …と。 そんな訳で「とりあえず可能だったら10人抜き」を目標に、 店内に設置してあるバトルサービス用の筐体に乱入したんだが… なんと言うかマオの戦い方はデタラメだった。 と言っても、なってないとか危なっかしいとかじゃない。 出来る訳のない事をやってのけているのだ。 光速のレーザを避け、実態弾は避けるかブッた切るか。 鉛弾もミサイルも真っ二つ。 ビームまで切りましたよこの小娘わ; 本当にボディは市販品なんだろうか…; そうして弾切れしてしかたなく、もしくは積極的に接近戦を挑もうものなら 手を出す→武器を切断 防御→盾をブッた切る。 切れすぎだろその刀; 最後は決まって首チョンパ。 でも素体には(首パーツを除き)一切傷をつけてない。 どっちにしろバーチャルバトルなんだから、現実には傷なんてつかないんだけどな。 そんなこんなで既に9人目… 6 白銀の翼が標的に向かって急降下する。 直前に使った照明弾であのマオチャオ型MMSの目は封じた筈。 背後から接近し、すれ違うと同時にM4ライトセイバーで一閃、即座に上昇。 さんざん梃子ずらせてくれたが、これで終わり。 見えなきゃ避けられまい…いいぞ、そのまま動くなよ… 今だ! ライトセイバーを振りぬく。 間髪いれず上昇。 非実体剣ゆえに手ごたえは無かったが、 たとえ当たっていなくとも仕切りなおせば良いだけの事だ。 『バカ! 後ろだ!』 マスターが叫ぶ。 この高度で後ろ?! ありえない! 「こんにちは♪ 空気の動きで丸解りですよー? そしてサヨナラです!」 背中に飛び乗られた?! 振り落としてや… ずぱっ! ビ―――――――――ッ 試合終了を告げる電子音が鳴り響く。 『Winner,マオ 現在9人抜きです』 「あと一人!」 「うわぁぁぁ! マスター! マスター! ボ、ボクの首ついてるよね?!」 「ジェニー、どう思う?」 「そうですね… 動き自体は市販品でも可能ですが、あの反応速度は普通じゃありません。 それにID登録の時、一瞬ですがこちらのシステムが停止しました」 「ハッキングか? ウチのシステムにまさか?」 「なんとも言えませんね。 幸い明日からここに通いますから、しばらく様子を見てみましょう」 「まだ結論は出せない、か。 しかし…”アレ”ではテストにならないな」 「一方的過ぎますね。 基本である”真っ直ぐな振り”は完璧ですが…」 「ふむ…よし、内藤君!」 「なんすか?w 店長wwww」 7 10人抜きまで、あと一人だ。 どっちにしろ買える額では無いのだが、途中で投げ出すというのも気分が悪い。 とは言うものの。 俺、座ってるだけで何にもしてないんだけどな(汗) それはそうと。 「なぁマオ、アレ使ってるのか?」 アレというのは加速時間ドライブの事だ。 簡単に言えば…クロックアップの超強化版みたいな? 15cmの身体で人を殺す為の、(今のところ)こいつだけの機能。 「使って無いですよ? 卑怯ですし…それにシミュレーターでは再現出来ませんから」 「って、じゃあさっき消えたのは何だったんだ?!」 「神姫も人間と同じで、視界に入ってるイコール見えてる訳じゃないんです。 虚を突き実態を掴ませない。 そうゆう特殊な動き方で消えたように見せかけてるんですよ。 まぁ…相手神姫の生産時期によっても効果ない場合もあるんですけどね」 「じゃあ弾を切ってるのは? いや、それよりもレーザーを避けるなんて…」 「んー、それはですね… あ、10人目の方が席に着かれたようです。 …説明は後ですね」 バイザー越しの視界が暗転する。 そしてフラッシュアウト。 光の中から現れた風景は…垂直に切り立った岩石の群れ。 谷間は霧…いや、雲で満たされていて深さをうかがい知る事は出来ない。 マオが立っているのは真っ平らで巨大な、薄く霧の立ち混める岩の大地。 「ギアナ高地のテーブルマウンテン…ですね、たぶん」 TVで見たことあるな。 確か世界最大の落差を持つ滝があるとかなんとか。 ん、霧の中から人…じゃないよな、対戦相手の神姫が… 「小姫ちゃん?!」 「な…、内藤! お前なのか?!」 『MYブラザー… ショータイムだ!』 8 小姫ちゃんの装備は何らかの手段で空中に浮く装置、それと護符型の投擲武器。 飛行するのとは違って高度が極端に低く、スピードも遅い。 精々地上スレスレを滑る程度で、はっきり言って足で移動したほうが早いだろう。 護符は手で投げているにしては高速だが、マオなら問題なく切り伏せられる物だ。 だが、現状で押されているのはマオだと言うべきだった。 「くっああぁぁぁぁぁ!」 マオがガーベラ・ストレートを小姫ちゃんに振り上げたままの姿勢で硬直している。 やがてじりじりと押し戻され、大きく吹き飛ばされる。 小姫ちゃんは空中で静止したままで、手を出していない。 くるりと回転して着地する。 さっきから何度も挑んではいるが、一向にラチが明かない。 反発フィールド。 小姫ちゃんの周囲に張り巡らされた[外側にはじき出す力]によって、 マオは唯一の攻撃手段である接近戦を封じられているのだ。 どうやらこのフィールドは浮遊と護符の加速も兼ねているらしい。 これでは虚をついて接近しても意味が無い。 着地地点に護符が打ち込まれるが、マオは難無く切り払う。 『どうだねMyブラザー、Myハニーの結界は?』 「やっかいだな… だがもっと厄介なのが、おまえがヘラヘラ笑ってないって事だ。」 コイツはマジになると「w」が出なくなる。 巫女服にあわせて護符型の武器にしてるんだろうが、 こんな決定打にならないネタ武器だけなら今も 「どうだねMyブラザーwww、Myハニィィィのw結w界wはw?wwwwっうぇうぇwww」 と逆毛語全開だっただろう。 「何か…あるな?」 『ああ、その通りだ。 小姫! 破魔矢を使え!』 「はいですの!」 小姫ちゃんが懐から何かを取り出し…、折りたたまれた…棒? 一振りすると”それ”は身長を超える長さの長弓になった。 すとり、と着地すると弓をかまえ… 弓? 普通の弓に見えるが…内藤の態度からして普通の弓であるわけが無い。 ものすごく嫌な予感に見舞われる。 「マオ! 下がれ!」 俺は初めてマオに指示を出す。 『兄様?!』 一瞬戸惑うが、直ぐにステップを繰り返して距離をとる。 シュン! 放たれた矢が残像で曲線を描いて飛び、 ギリギリで身を翻したマオの髪を数本切り落とした。 「な……速い! レーザーよりは遅いけど、これは…っ!」 「よく避けましたなの。 でもいつまで持ちますかなの」 かすった?! なんでレーザーをかわせるのに、速いとは言え弓矢がかするんだ?! シュン! 「くっ」 何とかかわす…が、それだけで精一杯だ。 矢が放たれるたびにマオの素体に傷が刻まれていく。 何度も、何度も。 『Myブラザー…、お前達の力はこんな物か。 さあ、俺様を乗り越えて見せろ!』 内藤はまるで「自分はお前達を鍛えているんだ」とでも言いたげだ。 けど、俺達にこんな状況で何ができるってんだ。 傷だらけになりながら全力で回避し続けるマオと、それを見ているしかない俺。 見ているしか… くそっ、あんな早い……矢…? ……! 矢を放った瞬間、霧が一緒に前方へ押し出されている。 だがその直後、逆に流れてるのは… そうだ、ただの弓があんな高速の矢を撃ち出せる訳が無い。 それに…なんで着地してから射らなきゃならないんだ? 着地したのではなく、浮いていられなくなったとしたら… あの弓、もしかして! 「マオ、そのまま聞け」 「兄様?! 今それどころじゃ… くっ!」 傷が増える。 だが俺は構わず続ける。 このまま避けていても勝ち目はないし、弾切れになれば防御を固められるだけだ。 可能性に…賭けるしかない。 「あの弓はおそらくバリアを利用したレールガンの様な物だ。 浮遊をやめたのは矢の加速に全てのバリアを回す必要があるからだろう。 だが発射の度にバリアの再配置が必要らしい… 霧の動きを見ろ!」 9 霧? シュン! 「痛っ!」 く…、弓矢が高速になっただけでこうも厄介な武器になるとは… 弾速でレーザーに肉薄し、機械構造を持たないために発射時のタイムラグも無く、 軽量なので取り回しも速い。 これでは切り落とす暇はなく、回避するだけで精一杯だ。 その回避にしても完全には避けられず、外装を削られ続けている。 あ…霧が…小姫ちゃんの方に吸い寄せられてる…? ギンッ! 「ぐあっ!」 左肩が半分ほど削られ、機能しなくなる。 でも引き換えに糸口を見つけた。 「見ました! 引き寄せられる所にタイミングを合わせれば…」 「そうだ。 このままでは勝ちは無い…行ってこい!」 私は全力で、かつ小刻みに蛇行しながら駆け込んでいく。 『特攻だと? 無謀な… だがその意気や良!』 冗談じゃありません。 確信があるからこそ、です。 ですがそのまま強気でいて下さいね? 守りに入られたら、勝ち目、ありませんから。 バキン! 「ぐっ!」 左腕が完全に千切れ飛んだ。 離れていても回避しきれなかった攻撃。 距離をダッシュで詰めていけば避けられるはずも無い。 それでも身を捻って、なんとか機能停止を退ける。 ゴギャッ! 「~っ!」 右の肘が砕けてガーベラと共に吹き飛ぶ。 あと10歩! ゴリッ! 「がっ!」 左の頬がえぐられる。 『くそっ! 結界!』 内藤さんが叫ぶ。 今だ! 「マオ! 飛べ!」 「ぁぁぁああああああっ!」 渾身の力を込めて飛び蹴りを放つ。 両腕が無い以上、他に攻撃手段は無い。 霧が小姫ちゃんの目前へと吸い寄せられる… 間に合え! っ! 結界が展開しかけて…減速させられる…! 届きそうだけど、これでは打撃にはならない。 「だったら!」 私は両の足首で小姫ちゃんの首を挟みこみ、 フィールドに弾かれるのに任せつつ身体を大きく仰け反らせた。 「?! なんですの?!」 反らせた体のバネに反発フィールドの力を上乗せして… 「ぎゃ、げぅがぁぁぁぁぁっ!!」 ごきっ…ぶっ…ブツンッッ!!!! 首を引きちぎる! 断末魔の悲鳴。 樹脂が裂け、ケーブルが寸断される音。 残された首の無い素体はその場に崩れ落ちる… 勢いがついてしまった私と小姫ちゃんの頭は そのまま岩盤の上を何度もバウンドしながら吹っ飛び、 十数歩ほどの距離を移動して…そこでやっと止まった。 10 小姫ちゃんはもちろんだが、マオもピクリとも動かない。 どう…なった? 「う…… 兄様ぁ~ ものすごく痛いです~;」 『Winner,マオ 現在10人抜きです』 「ふ…ふははははっ! ここまでとは…見事だwMyブラザーwっうぇwwww」 あー…、喋り方戻ってる。 どっちかと言うと、お前に油断があったからなんとか勝てただけなんだけどねー; パチパチパチパチ… 「あ、店長さん」 「おめでとう。 認めよう、君の力を。 ガーベラ・ストレートは君の物だ」 なんですと? えーと、たしか… _________________ 俺 「えと…店長さん、半端無い値段とわ?(―_―;」 内藤「ぶっちゃけ俺らの給料の1年分wwwっうぇwww」 な、なんだって―――――――――っ! Σ(| |) _________________ ………ちょ、 「待ってくださいよ! いくらなんでも給料の1年分なんて無理ですよ!」 「どこにそんな金額が書いてあるの? ほら、白紙でしょ」 え。 「これはね、ウチの常連だった人が置いていったんだ。 いつかふさわしい奴が来たら渡してくれってね」 「でもぉ…私、最後は刀使ってませんでしたよ? それでも合格なんですか?」 アクセスポッドから半身を乗り出したマオ。 …良かった…腕、ついてる。 そりゃシミュレーターなんだから当然か=3 「技術は9戦目までで充分証明したさ。 問題は持つに相応しい気質があるかどうか。」 気質? 「重要なのは、困難に臆する事無く立ち向かう事。 元の持ち主が、そうゆう神姫だったからね」 店長さんが、なつかしい様な…悲しいような表情を… …「だった」? あ、もしかして。 「これ… 遺品、ですか?」 「うん。 新品じゃなくて悪いんだけどさ、使ってもらえるかな」 「遺品… そっか、私と同じか…」 「ん? どうゆうこと?」 マオの呟きに店長さんが疑問を投げかける。 そりゃまぁそうだな。 神姫が遺品だなんて…無いとは言わないけど、多くも無いだろうし。 「コイツは俺の親父の神姫だったんです。 親父は行方知れずだったんですけど、 コイツがひょっこりたずねて来まして…」 さすがに『作った』のは隠しておいたほうがいいかな。 11 ホビーショップ・エルゴ 閉店後の店内 「どうなってんだこりゃ?」 エルゴの店長、日暮夏彦とその神姫、ジェニーがマオ対小姫の対戦データをチェックしていた。 対戦記録に不振な点は無い。 問題はアクセスポッドの監視記録だ。 「素体の表面温度…全然上がってませんね。 それどころか情報処理で負荷がかかる場面では、むしろ低下しています」 「ポッド内気温もほぼ変化無し、か。 どんなに高性能でも熱を出さないなんてありえないんだが…」 だがモニターに映し出されているのは、ほとんどが緑色のサーモスキャン画像。 緑色は気温と大差ない表面温度を表す。 「けど違法改造してるとも思えないな。 アレ特有の後暗さが無かったし」 「そうなんですよね… 大抵は狂気の片鱗が見え隠れするものなのですが…」 「とは言うものの、ID登録の時にシステムが一瞬停止したのも気になる。 これといった確証は何もないが…」 「あーもうっ! やめやめ! 明日から通ってくるんだから大明神様が観察すりゃあ済む話!」 「私に丸投げですか。 ところで、ガーベラをあげちゃって良かったんですか? だってあれは…」 「そこは直感だな。 全然似てないのに、アイツの神姫にそっくりだと思ったよ」 12 帰り道。 ポケットの中のマオが口を開く。 「素敵、ですよね」 「ん、何が?」 「全力でぶつかっても殺さないで済むなんて…」 ああ、そうか。 夢でも泣いていた奴が、奪った命の重さに押しつぶされそうになっていた奴がだ。 対戦相手の首を刎ねるなんておかしいとは思ったけど、そういう事か… なんでも神姫の場合、コアを破壊されなければ物理的な死は無いとか。 だから機能停止に持ち込むのに破損箇所が少なくて済む首を狙っていたのか。 首を落とされるのは神姫にとって死ではない。 バーチャルでも殺すのは嫌なのね… そっちは納得。 けど認められないのが一つあるぞ。 「お前さー…自分の事を遺品と言ったよな? 俺はお前をモノ扱いする気はない。 お前は俺の妹だ。 だからさ、もう遺品と同じーとか言わないでくれよ」 「ふぇ…兄様ぁ… ぐすっ…」 う、泣かしてしまった。 そっと布地越しに撫でてやる。 母さん、こうゆう泣かし方はセーフですよね? ToBeContinued... ※小姫の袴の中にはエアバイザーの翼をぶった切った物がはいっています。 箱書きによると[バリア/ビーム砲/補助浮力発生器]だそうな。 芸達者だなおい。 この中の補助浮力発生器としての機能を使ってイロンナコトやってた訳です。